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ビットコイン分裂騒動、米国開発者と中国マイナーに踊らされる日本投資家

1024日、8月に続いて再び分裂し、ビットコインゴールド(BTG)と呼ばれる新たな仮想通貨を創設する作業が始まりました。通貨が分裂を繰り返すことは喜ばしいことではないため「分裂騒動」とされています。

分裂騒動はアメリカと中国が喧嘩、踊る日本

今回の騒動の原因は開発者と承認者(マイナー)との間の揉め事です。この揉め事を、すこしばかり引いた目で見ると、こんな構造が見えてくる。

開発者はアメリカ勢、承認者は中国勢、そして価格の乱高下に慌てふためく日本人投資家たち。この騒動を含めビットコインの将来に発言権を持つのはアメリカコアメンバーと中国のマイニング事業者たちであって、ビットコイン取引量の約60%を占める日本の投資家たちにルール決めの発言権はない。ビットコインの世界は米国・中国の二大帝国と、それに付き従う第三国日本に見えてくる。

ビットコイン世界のルールを決めているのはアメリカと中国だ。日本人はそのルールの上で熱狂し、踊らされているだけだ。分裂騒動で米中が決裂するたびに、大騒ぎでトレードを加速する日本人投資家。増加するトレードによって潤う中国人マイナーたち。

世界通貨と呼ばれるビットコインけど、開発者担当のアメリカ、マイニング担当の中国、熱狂する日本と単純化して考えると構造が見えてくるものだ。

改正資金決済法で、仮想通貨取引所を登録制にし、投資家の保護を進めた日本政府。仮想通貨取引所を閉鎖し、投資家の保護を進めた圧倒的な中国政府。さて、次はアメリカ政府だ。どうでる。

ビットコイン分裂騒動の実情

今回のビットコイン分裂騒動はアメリカと中国の喧嘩、踊る日本という単純な構図ではなく、実際はもう少し複雑です。分裂騒動は今回が初めてではなく、8月に1度ありました。そのときの分裂も「コア開発者」と「マイナー(採掘者)」の対立です。

ビットコインのシステム設計やメンテナンスをしてきたエンジニアたちがコア開発者で、大規模なコンピューターによる暗号解読処理(マイニング)で取引の承認・記録を進めるのがマイナーです。コア開発者が採用しようとしたマイニング手数料の上昇を抑える取引遅延の解決策を提示しましたが、マイナー勢の一部が反対し分裂に至りました。分裂して誕生した仮想通貨がビットコインキャッシュです。

今回の分裂で誕生するのはビットコインゴールドです。今回の騒動を主導しているのは香港に拠点を置くマイナー(採掘者)です。暗号の難易度を下げて、大規模設備を必要とせずに個人もマイニングに参加可能な仕組みを作ろうとしているとみられています。なお、11月は取引容量の拡大を巡る思惑の違いで、3度目の分裂が行われる可能性があると言われています。