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【ビットコイン基礎講座:4】ビットコインは通貨か〜仮想通貨の信頼性が問われる〜

第三回に引き続き、「おかね」になる条件をビットコインがどう克服してきたのかをお話します。今回は、5のビットコインの受け渡しの事実をどう明確にして管理していくのか、そして6の発行制限についてです。

5.デジタルキャッシュの受け渡しの事実が、管理できること

ビットコインが正当な保有者から正しく次の保有者へ受け渡しが成立し、それを全員が共有できることがデジタルキャッシュとしての成立条件です。これは、単体で成立する条件ではなく3の二重使用が防止され、4の保有者が誰なのかが証明できれば必然的に成立する条件ともいえます。ただし注意しておきたい点が1つあります。ビットコインの受け渡しと言ったばあい、コイン自体を直接的に送り手から受け手へ受け渡し、その口座情報をみなで共有しているわけではないということです。

大雑把にいえば「このコインはAさんのものですよ」と宣言された電子ファイルが世界中で共有された状態にあるということです。世界中で共有されている電子ファイルを見れるのは参加者全員です。しかし、実際には宛先となっている公開鍵ハッシュに対応する秘密鍵を持っている人だけが使えるという仕組みです。秘密鍵は本人しか持っていないので、宛先となっている本人しか使えないという点において、受け渡しが成立しているといえるのです。

6.デジタルキャッシュの発行に制限がかけられること

ビットコインが無制限にビットコインの発行量の上限は予め仕様として決められています。そしてビットコインのプログラムの中に予め組み込まれています。この上限によって、原理上インフレしないということになっています。誰かが任意に、好きなときに、好きな量だけビットコインの供給量をコントロールすることができません。

ではどのような手順でビットコインが供給されるかといえば、ビットコインは参加者のマイニング(採掘)を通じてのみこの世に供給されます。ビットコインのマイニングは早い者勝ちで、計算競争は熾烈を極めます。

平均して10分ごとに世界の誰かがマイニングに成功するように設計されています。マイニングをする人は、採掘コストを上回るビットコインが得られるとわかっているからマイニング作業をしています。コストを上回る購買力(ビットコインの価格)をシニョレッジ(通貨発行益)と呼びます。現時点ではシニョレッジがあるおかげで、採掘作業に多大なるコスト(電気代など)をかけてでも競争しているのです。

最後に

このように、ビットコインは技術的な要因と巧みなインセンティブ設計によって、デジタルキャッシュを「おかね」として機能させているといえます。ただし、全知全能のデジタルキャッシュかといえばそうではありません。「おかね」であればあるほど、リアルマネーとの比較はされてしまいます。

それがマネーロンダリング、違法資金問題、決済の処理スピード問題、マイニング作業に対する電気代といった資源浪費への批判など、課題や批判は尽きません。2008年に生まれたとは言え、市民権を得たのはここ2.3年です。まだまだ議論の余地はあり、世界中で議論される中で、大きなゴールは見えてくるのだと思います。