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ビットコイン価格と電気代、上手に作られた採掘インセンティブ設計

ビットコインの価格はどう決まるのでしょうか。その答えの1つに、「電気代」があります。一見すると、ビットコイン価格と電気代は関係がないように見えますが、マイニング(採掘)という作業を通じた密接な関係があります。マイニング作業に必要な電気代と、ビットコインの関係について考えてみたいと思います。

ビットコインの価格はどう決まる?

日本円という貨幣が生み出されるのは、日本銀行(中央銀行)が貨幣を発行するからです。ではビットコインはどこから生み出されるかといえば採掘者(マイナー)が採掘(マイニング)するからです。マイニング作業によっ10分間隔でこの世にビットコインが生まれています。採掘者(マイナー)はマイニングという作業(簡単にいうと数学の答え探し)を通じてビットコインを受け取ります。そして、その受け取ったコインを非採掘者ではない人に売却することでビットコインが流通します。

電気代に支えられているビットコイン

マイニング作業は日に日に難しく(計算が困難)になっており、問題を解くためのコンピューターの性能やそれにかかる電気代も膨大な金額になっています。つまり膨大な電気代をかけてでもビットコインを得たいと思わなければ、マイナーは動きません。非常にシンプルに言えば「ビットコインの価格>必要経費(電気代等)」とならざるを得ないのです。

この不等式が崩れると、ビットコインを採掘するインセンティブは失われ、誰もビットコインを採掘せず価格は恐らく下落するスパイラルに突入するでしょう。少し脱線しますが、ビットコイン創成期は個人の余ったパソコンでマイニング作業ができる時代でしたが、いまでは1つのビジネスとなり個人が太刀打ちできるレベルではありません。

ちなみにいま仮想通貨ビットコインの6割は中国の採掘者(マイナー)によって採掘されています。理由はこれまでの話しから考えると単純で経費が安いからです。それはCPUやGPUといったコンピューター部品が安価、人件費や電機代が安いからです。1キロワットあたりの電気代で比較すると中国は日本の半分以下です。

こう考えると、ビットコインの採掘(マイニング)という仕組みがある以上、価格は不安定なものです。日本円の価値はその背景にある日本国の国の力、政治体制や経済状況といったファンダメンタルズに依存しますのでインフレ調整など価格調整が可能です。しかしビットコインは仕組み上、ファンダメンタルズに依存したくても依存する国や組織がいません。価格は純粋に需給バランスによってのみ決まります。

では通貨の発行量が一瞬にして増えてインフレが起こる可能性があるかと言えば、NOです。
ビットコインはマイニングすればするほど増えるわけではありません。発行総量は2100万Bitcoinとルールで決まっていて、それ以降は新規に発行されることがありませんし、マイニングによって発行される量も事前にルール化されています。したがって、一瞬にして発行量が増えてインフレが起きる心配はありません。