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アマゾンビットコイン決済対応の噂と、先行企業に学ぶ導入メリット

アマゾンがビットコイン決済に対応するという噂

日本時間の27日夜から28日早朝にかけてビットコイン価格は荒い値動きでした。その理由の1つが「アマゾンがビットコインでの決済導入を発表する」という噂です。この噂、定期的に出ては消えていく話題の1つです。10月29日現在では、アマゾンからの公式発表はありません。今回も、噂の類のまま消えていく可能性が高いです。

ビットコイン決済が実現すれば、ビットコイン界隈にとっては間違いなく大きなインパクトを与えることになるでしょう。消費者からの期待度も高く、ビットコインで決済ができるように対応を求める署名活動が行われるほどです。

ビットコイン決済の先駆者、米オーバーストック

決済手段としてのビットコインの普及は、投機手段としての普及よりかなり遅れている印象です。日本ではビックカメラやH.I.Sといった企業が採用しましたが、ネット通販での利用はまだまだこれからです。

アメリカでは、3年ほど前からファッションから家電、キッチン用品、おもちゃなど幅広く取り扱う大手ECサイトのオーバーストック(overstock.com)がビットコイン支払いを受け付けています。オーバーストック社は、その名の通り余剰品や倒産企業の在庫を引き取って、割安価格で一般消費者に販売するところから始まった会社です。

米オーバーストックの決済画面

オーバーストック仮想通貨

 

オーバーストックの年間売上のうち1%程度がビットコイン支払いによるものですが、恐らく数%であろうビットコインユーザーの普及率から考えると、決して低いとは言えません。とはいえ、1%にも満たない売上のために、複雑な会計処理が必要となるであろうビットコイン決済を導入するメリットはどこにあるのでしょうか。

昨年1年間で110万ドル(約1.2億円)に達した。さらに今年は、「過去最高の300万ドル(約3.4億円)に達する見込み」だという。ただし、ドルでの支払いを含む総売り上げは昨年が18億ドル(約2000億円)、今年は推定20億ドル(約2300億円)なので、ビットコインが占める割合自体は全体の1%にも満たない。 日経ビジネス アソシエ Selection

ビットコイン決済導入のメリットは利益率改善

クレジットカードや決済代行サービスに比べてビットコイン決済は手数料が安く、利益率を改善するメリットがあります。しかしビットコインはボラティリティが高く、ビットコインを受け取った時点と現金化する時点のレートに大きな差が生まれてしまうことがあります。

ビットコインの手数料の安くとも、価格変動のデメリットが上回れば導入メリットになりません。このような懸念を見越して、例えば日本の仮想通貨取引所のビットフライヤーでは、決済導入企業向けにビットコインを受け取ると同時に自動で売却できるサービスを提供しています。

オーバーストックは受け取ったビットコインの半分は現金化しない

また、オーバーストック社では仕入れの支払いにビットコインを利用しているようです。商品を提供する取引相手がビットコインを受け取れる前提ですが、ユーザーから支払われたビットコインの半分をビットコインのまま保有し、支払いに宛てているようです。

アマゾンはビットコインを導入するか

企業にとってのビットコイン導入メリットがあるとはいえ、アマゾンがビットコインを採用するかは不透明です。1997年に取得した「ワンクリック」購入の特許切れという側面からは、ペイメント関連の新サービスとして仮想通貨は自然ともいえます。一方でビットコインの承認スピードから考えると、少なくともビットコインは不採用だと考えられます。