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格付けの低いビットコインへ批判殺到、格付け機関が格付け根拠を明かす

米Weissratings社は1月24日、世界で初めて仮想通貨格付けを発表し、翌週2月2日は第2回目の格付け発表をしました。高評価されたコインは値上がり、低評価だったコインは値下がりするなど一定の影響力と話題性をもっています。格付けの中で特徴的だったのは、「ビットコインの低評価」です。

 

ビットコイン格付けはC+の低評価

 

ビットコイン格付けはC+(フェア)で、大雑把に言うと中の上程度です。仮想通貨を代表するビットコインを低く格付けしたことで、格付の信頼性に激しい非難を繰り返したのが暗号通貨の開発コミュニティです。

 

その批判への反論という形で、Weissratings社から書簡が公表されています。一部抜粋抄訳します。

 

 

ビットコイン格付けを批判するイーサリアム創業者

 

なお、書簡で紹介されているように、カルダノやイーサリアムの創業メンバーであるチャールズ・ホスキンソン(Charles Hoskinson)は次のように批判意見を述べています。

 

Any rating that doesn’t give Bitcoin an A has got some screws loose.

ビットコインにAを与えない格付けは、ネジが緩んでるとしか言いようがない。

 

ビットコインはもっと高く格付けされるべきだという批判、非難に対してWeissratings社は以下のように反論しています。

 

格付けは極端な価格変動リスクに晒されている個人投資家向けである

 

我々(Weissratings社)は格付けを公表する前から、極端な価格変動リスクに晒されている個人投資家のために設計すると伝えていた。仮想通貨の開発者やビットコイン支持者は、価格の変動率は考慮に値せず、格付けは実世界での成功を主に反映すべきだと考えている。

今回の格付けは、4つの指標(インデックス)を使用している。2つは、従来型の資産分析に基づいており、もう2つは仮想通貨分析用のものを用いている。

 

格付け指標1:投資リターン

 

2017年は、仮想通貨市場全体で急激な価格上昇があったが、ビットコインは他のアルトコインに比べて負けている。また現在は非常に低い価格水準にある。

 

尚、投資リターンの指標では、移動平均と比較したリターン、ベンチマークと比較したリターン等を評価しているようです。

 

格付け指標2:投資リスク

 

直近数ヶ月の高いボラティリティを考えれば、ビットコインが高評価に値しないことは驚くべきことではない。

 

尚、投資リスクの指標では、複数の時間軸に相対的、絶対的な価格変動、天井から底値への価格下落の頻度や下落の幅などを評価しているようです。

 

一部の人間が、今回の格付けは格付け指標1と2を過大評価してると言っているが、そんなことはない。確かに、仮想通貨の極端な投資リターンや価格変動は、平均以上のインパクトを与えているが、評価モデルの設計上の問題ではない。モデルは適切にボラティリティやリスクを反映している。

 

格付け指標3:ファンダメンタルズ

 

ビットコインは、ネットワーク上のセキュリティ、使用方法、参加する開発者の層の厚さ、ユーザーの人気の面では優れている。しかし、それは1秒間に4つの取引処理、それに10ドルの手数料がかかるという面、またハッシュレートの大半を管理するのが、たった5つの大規模なマイニングプールという面。

 

尚、ファンダメンタルズ指標では、トランザクションの速度、スケーラビリティ、市場浸透度、セキュリティ、開発者の参加度、一般投資家への受け入れ度などで評価しているようです。

 

格付け指標4:テクノロジー

 

Bitcoinはブロックチェーンのセキュリティに関してはうまくいっているが、スケーラビリティと持続可能性に関連する欠陥のために格付けポイントを失っている。また適切なガバナンスがく、それは容易にアップグレードすることはできい。

 

尚、テクノロジー指標では、ホワイトペーパー、公開ディスカッション、プログラムコードの分析、匿名性のレベル、ガバナンス能力、コード改善能力、エネルギー効率などを評価しているようです。

 

ビットコインは、強いブランドと先行者利益があるかもしれないが、他のアルトコインは後発の利点がある。振り返ってみると、ビットコインの支配力は、2017年初頭には90%近くから今日ではおよそ33%に低下していることがわかる。

 

低評価批判への反論まとめ

 

Weissratings社はビットコインが仮想通貨のキングであることや先行者メリットを認めています。しかし、技術的な課題、その解決策、またスケーラビリティといった技術要因や、極端な価格のボラティリティ(変動)は、他のアルトコインに比べて低評価にならざるを得ないという判断です。

また、もっとも重要なことは「リスクに晒されている個人投資家」向けの格付けであって、批判する開発者が重点評価すべきとする技術的な側面や実社会への認知度は、評価対象の一部に過ぎないということです。

各評価項目のバランスは公開されていませんが、投資リターン、投資リスク、テクノロジー、ファンダメンタルズの4つを主指標としているようです。

また、格付けは毎週変動し、絶対的な評価ではありません。事実、第二回ではイーサリアムが評価を1つ下げたように、流動的な指標であることは注意が必要です。