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仮想通貨が生まれる前、パルメザンチーズでローンが組める時代があった

人類の歴史で生き残れなかった貨幣たち

仮想通貨/暗号通貨「Bitcoin(ビットコイン)」が生まれたのは2009年で、通貨や貨幣の歴史から見ると仮想通貨は新人です。何世紀にもわたって、世界中の人々がお金として様々なものを使用してきました。いま一般的に流通している紙幣や硬貨以外にも、パルメザンチーズが貨幣として成立していた時代もありました、ナイフがお金の代わりだった時代もありました、日本ではお米で給料を払う時代もありました。

これらの通貨は、人類の歴史の中では一定期間流通していましたが、最終的には時代遅れとなりました。未来に続く最高のお金とは何でしょうか?それが紙幣・硬貨なのか、あるいは仮想通貨なのか、この先の未来を予測することはできませんが、過去に「最高のお金」だと思われたいた(けれど地位を失った)奇妙な通貨をご紹介していきたいと思います。

塩でできた貨幣

古代文明といえば塩です。塩にまつわる最初の記録は紀元前2700年の中国です。塩は食品を保存するために高く評価されていましたが、その生産は非常に限られており、また塩は国の専売特許となっている国や地域も多かったため、塩が通貨として使用されていました。

6世紀のサハラ以南アフリカのムーア商人の間では、1オンスあたり塩と金は等価で交換されていました。またエチオピアでは、岩塩レンガ(スラブ)がコインとして利用されていました。ピンク色した岩塩、ステーキハウスなどでよく見かるあれです。ちなみに、岩塩レンガは長さ10センチ、暑さ2インチでした。

 

岩塩の貨幣イメージ

岩塩と貨幣とビットコイン
画像引用元:goldline.co.jp

 

古代ローマ時代には、兵士への賃金としても利用されていました。“Salarium Argentum”という制度ですね。ここから、サラリーマンの語源、Salary:給与という言葉が生まれました。また、英語で”not worth his salt”といえば、塩の価値もない。すなわち、彼は尊敬に値しないという意味で使われます。なお、塩対応とは、そっけない、愛想のない、しょっぱい対応という意味ですね。

 

塩対応イメージ

塩対応とビットコイン

 

お茶でできた貨幣

お茶っ葉1枚ではなく、茶葉を圧縮成形して固めたレンガ状の団茶、片茶、圧縮茶、固形茶と呼ばれるものです。アジアの多く、特にモンゴルやシベリアの遊牧民の間で通貨として使われていました。金貨よりも優先して利用していたと言われています。作り方は、茶葉を乾燥させて小麦粉や肥料、血液を用いてレンガ状に圧縮します。このお茶っ葉のカタマリは、通貨としてだけではなく食したり、お茶を作ったり、食用としても利用されていました。

 

お茶の貨幣イメージ

お茶と仮想通貨

チーズでできた貨幣

パルメザンチーズといえば、イタリアを代表するチーズです。イタリア語読みはパルミジャーノ・レッジャーノ(parmigiano reggiano)で、イタリアチーズの王様と言われています。パルメザンチーズを加えるだけで料理の味が格別になるので、イタリアでは「台所の夫」と称されています。
さて、パルメザンチーズは1200年ごろには、パルメザンチーズの車輪(塊)が他の商品との交換手段として利用されていました。日本ではパルメザンチーズは粉状のものが多いですが、本来は硬い塊のものです。2000年代に入ってなお、イタリアのある地域では酪農家のローンの担保にパルメザンチーズを使っているようです。なお、1つの車輪(塊)には、約550リットルの牛乳が含まれているようです。

 

パルメザンチーズの貨幣イメージ

仮想通貨とパルメザンチーズ

 

石でできた貨幣

ミクロネシア連邦の西端に位置するヤップ島では、石が通貨の代わりでした。現在、ヤップ島で使用されている通貨はアメリカドルです。昔はライ(RAI)と呼ばれる石貨が、ドルの代わりを担っていました。また、伝統的な貸借関係や詫びなどの気持ちを表す道具として現在も使われています。

面白いのは、その石貨の価値の測り方です。その価値は大きさや重さとは関係なく、その石が運ばれてきた背景とそれを語る人の表現能力によって評価が変わるようです。現在では石貨のヤップ島外持ち出しは一切禁止されています。

なお、石貨は大きいものになると直径3m、重さ5t程になり移動は困難です。したがって、石貨の保管場所は移動せず所有権のみが移動するという取引形態をするようです。

 

ヤップ島の石貨イメージ

石貨と仮想通貨

 

皮で出来た貨幣

動物の皮は、世界のあらゆる地域で通貨としての重要な歴史を持っています。中世のロシアとフィンランドでは、リスの毛皮は重要な交換媒体でした。 現在でもフィンランド語「raha」は、お金を意味していますが、もともとは「リスの毛皮」を意味していました。

 

リスのイメージ

リスと仮想通貨

 

北アメリカでは、ヨーロッパの入植者と先住民たちにとっての共通見解は「動物の皮には価値がある」ということでした。1748年に、ビーバーの皮は北アメリカの “貿易標準”だったそうです。1枚の皮で2ポンド’約1kg)の砂糖を買うことができました。

いまでも米ドルをバック(Buck)と呼ぶことがあります。これは雄鹿の皮(Buck skin) が1ドルの値打ちがあり通貨として機能していた名残で、その様に呼ばれるようになりました。一種のスラングですね。

武器でできた貨幣

古くから武器と通貨は相性が良いようです。多くの文明で、矢じり(矢の頭の鉄器部分)は通貨として使用されてきました。中国では紀元前600年の元の時代にナイフが貨幣として使われており、羊や魚などの単語が刻まれ価値が決まっていたようです。秦の始皇帝が中国をはじめて統一したと同時に、中国各地でばらばらと使われていた貨幣を改め、当時の秦で用いられていた環銭の形に銭貨を統一することになりました。

 

矢じりのイメージ

矢じり仮想通貨

 

仮想通貨ビットコインは生き残れるか

いずれの通貨・貨幣も今では流通していない過去の遺産です。これら以外にもハイパーインフレーションに見舞われて姿を消した通貨、使用価値が失われた通貨は多々あります。仮想通貨ビットコインは、生まれたばかりの新しい通貨です。これからさき、歴史の本に載って終わりとなるか、最高の通貨として世界を席巻するか日々研究を続けていきたいですね。