ホーム / 暗号通貨の考え方 / マイニングサービス「Coinhive」はサイト収益の新手段か悪意のマルウェアか

マイニングサービス「Coinhive」はサイト収益の新手段か悪意のマルウェアか

法人か個人か、或いはWEBか紙かを問わず、メディア産業の収益源は広告です。デジタルメディアにおいてはnoteやオンラインサロンのような有料課金モデルなどのサービス多様化が進んでいるとはいえGoogle Adsenseやアフィリエイトのような広告収益が大半です。

 

広告収益に代わる手段として2017年に颯爽登場したのが「Coinhive」や「Crypto-loot」といったメディア運営者向けの仮想通貨マイニングサービスです。簡単に言うと、Adsenseやアフィリエイトを掲載せずに、Coinhiveのソースコードを掲載することで、仮想通貨収益をあげましょうというサービスです。

 

「仮想通貨の新たな可能性」と期待する声から、「悪意のあるマルウェアだ」と批判する声もあり、賛否両論が渦巻いています。どのようなサービスなのでしょうか。

 

サイト上の邪魔な広告の代わりに、閲覧者のCPUで仮想通貨マイニング

 

サービスの概要としては、サイトの運営者が、サイト閲覧者に仮想通貨を採掘させ、その仮想通貨収益を受け取るサービスです。ブラウザマイニングとも呼ばれています。例えばCoinhiveでは専用のJavaScriptコードを自分のサイトに埋め込むと、そのサイトを閲覧した人のPCのCPUパワーを使い、仮想通貨「Monero」を採掘します。採掘益の7割が、サイト運営者に配分されます。残り3割はCoinhive側の運営手数料となります。

coinhive

 

このサービスの大義名分は、「多くのWebサイトには、押しつけがましくて邪魔な広告が表示されている。その代替手段を提供することが、われわれのゴールだ」としています。たしかに広告だらけのサイトに辟易した経験は誰にでもあり、納得感があります。

 

勝手にマイニングするのは、マルウェア扱いに

 

ただし、サイト閲覧者から見ると勝手に自分のCPUパワーが、サイト運営者の採掘作業に付き合わされるのは納得できません。これが、マルウェアだと批判される理由です。実際、多くの広告ブロッカーがCoinhiveをブロックしているほか、一部のアンチウイルスソフトにもブロックされているようで、サイト閲覧中に「マルウェア警告」が出ているサイトもあるようです。

 

スタバのWi-Fiに接続すると勝手にマイニングされていた

 

これはブエノスアイレスのスタバで起きた事例です。スターバックスのWi-Fi接続後に10秒間の遅延を発生させ、その間にCoinhiveによってモネロをマイニングさせるといった仕組みになっていました。これがスターバックスの意図的なものか、第三者による悪意あるものか不明ですが、批判的ニュースとして一時話題となりました。

個人的にはサイトの収益化の手法として、「ユーザに広告を見せる」という従来の収益方法から「ユーザのリソースをお借りする」という新しい形態が登場したという点では、このブラウザマイニングの方法に注目しています。

 

しかし、現時点では「勝手に」マイニングするわけで、サイト閲覧者への敬意の無いサービスです。これから先、広告の代わりにCPUを拝借するという事前同意の義務化など、やり方次第では認知が広がっていくかもしれません。