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コインチェック不正アクセス事件の記者会見で感じた3つの違和感

大きく報道されているように、コインチェックで大規模な不正アクセスが発生しました。26日に即日記者会見を開いた点については、適切な危機管理対応だと考えています。事業継続の強い意志があるからこその即日記者会見です。

成人式着付けで話題のはれのひ社とは大違いです。ただ、東洋経済が報じてるように、記者会見中に株主へ配慮し過ぎで、筆頭株主2人は記者会見に登場してる和田氏と大塚氏というオチまでついてました。これは会場も失笑、爆笑でした。

 

2時間の記者会見を見ながら感じた違和感が3つあります。

  • セキュリティの認識が甘いことは認めるべきだった
  • 報道陣側の悪意ある質問は辟易した
  • 段取りの悪さ(情報公開の粒度、投資優先度など)

セキュリティの認識が甘いことは認めるべきだった

 

まず、記者側のブロックチェーン技術、セキュリティ技術、そもそも仮想通貨への知識の無さが露見したと言われていますが、それは当たり前ではないでしょうか。そもそも記者は専門家と一般読者の間の役割ですから、取引所内部の人間との情報格差はあって当然といえます。

 

ただ、コインチェック側はもう少し歯切れの良い回答ができる質問は多々あったのではないでしょうか。特にセキュリティ対策については、弁護士からの口止めがあったのでしょうが、「セキュリティの認識が甘かった」と断言すべきだったと思います。

 

技術的に、ホットウォレットではなくコールドウォレットで保管すべきだったこと、またマルチシグに対応しておくべきだったという点は、いずれにせよセキュリティ対策の甘さです。「人手不足だが、やるべきことはやってました」感を前面に出していましたが、資産を毀損する可能性のある投資家から言わせれば人材不足で片付けられるような話ではありません。

 

報道陣側の悪意ある質問は辟易した

 

仮想通貨を知らないからではなく、悪意を感じる記者からの質問が多かった印象を受けました。記者が仮想通貨の専門家である必要はないと思います。ただ、反省の言葉をひねり出そうとする辛辣な質問、仮想通貨のネガティブ要素をえぐり出そうとする重複した無知な質問には辟易しました。

 

2018年に入ってから、仮想通貨市場には明るいニュースが少なく、規制や不祥事のほうがよっぽどニュースネタになる状況です。コインチェック側への高圧的な態度は、視聴者にとって不快でしかなかったと思います。きっと記者の中にもコインチェックにネムを預けていた人がたくさんいるんでしょうね。

 

段取りの悪さ

 

段取りの悪さといったら、記者会見が東京証券取引所で行なわれたことです。いくら未上場とはいえ、東京証券取引所内での記者会見です。会員数、ネム保有者数、売上も、出来高といった質問が来るのは想定できていたはずでしょう。

 

また、広告費をかける前にセキュリティ対策費用を捻出しておくべきでは?という段取りの悪さを指摘されていました。取引手数料が安いと謳っていながらも、暴利的なスプレッドが実質的な利益の源泉です。出川哲朗で会員伸ばして、手数料最安値を謳いながら、取引量を大きく伸ばして、暴利的なスプレッドで利益を積み重ねて、そして最後に盗まれるという大変残念な結果です。

 

仮想通貨ネムの不正アクセス事件の記者会見要約

 

2時間に及ぶ記者会見でしたので、大幅に抜粋要約してあります。

 

どんな事件が起きたのか

2018年1月26日午前3時ごろ、コインチェックのNEMのアドレスから、5億2,300万のNEMが送信されました。検出時点のレートで580億円。

なぜ発覚したのか

11時25分、残高が異常に減っているところを検知いたしました。

他の通貨は?

NEM以外の通貨に関しましては、今のところハッキング等、何か起こっているということは確認されてはおりません。

ネムをどう管理していたか?

今回の(管理に)関しましては、ホットウォレットに入ってございました。

今後の補償はどうなる?

今回のNEMの保証もふくめて、現在会社として対応方法を検討中でございます。

ネムの保有人数は?

データベースにはあるんですが、いくつかということに関しては、総数の確認はまだできておりません。

どこから不正アクセスされたか?

調査中でございます。

暗号鍵を盗まれてしまったら、取り戻せるのか?

いえ、取り戻せないです。

マルチシグ対応をしていたのか?

マルチシグを行なっておりませんでした。

コインチェックは何人ぐらいのチーム?

全体が80で、開発者が半分以上の40ぐらい。

和田代表がお飾りに見えてしょうがない

私たちの中では彼(和田代表)は開発。

月々の出来高と月々の営業収益は?

株主と確認し次第、報告。

筆頭株主はどなたなんですか?

筆頭株主は和田晃一良でございます。

お2人で過半数は持ってらっしゃるんですか?

はい。(会場笑)

 

記者会見後に出た各社の報道記事

 

記者会見後には各社から速報が出ていました。このニュースをきっかけに、これから仮想通貨全体へのネガティブキャンペーンが始まるかもしれませんね。

 

・朝日新聞

https://www.asahi.com/articles/ASL1W3TZKL1WULFA006.html

仮想通貨では、不正アクセスを防ぐため、ネットからのアクセスを遮断したコンピューターでデータを保管するなどより安全な対策をとっている取引所が多いが、コインチェックは26日の会見で、NEM(ネム)について対応していなかったと説明した。

 

・東洋経済

http://toyokeizai.net/articles/amp/206421

「株主と相談して今後の対応を決めたい」と繰り返した。和田氏と大塚氏で株の過半を持っているが、外部株主(インキュベイトファンド、ANRI、WiL)に対する過剰なまでの配慮が目立った。

 

・日経新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26234720X20C18A1MM0000/

同社が国際団体から推奨されていた、安全性の高い「マルチシグ」と呼ぶセキュリティー技術を導入していなかったことも明らかになった。大塚雄介・最高執行責任者(COO)は「認識はしており、やらねばならないとも思っていた」と弁明したが、利用者保護が後回しになっていた形だ。