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ビットコインキャッシュの急騰急落はインサイダー取引?ゼロ・トレランス運営が求められる取引所

ビットコインキャッシュ(BCH)の価格推移

 

海外の主要な仮想通貨取引所のひとつCoinbase(コインベース)が、12月20日に開始したビットコインキャッシュ(BCH)の取引をわずか数分で停止しました。ビットコインキャッシュの価格はCoinbaseの上場開始直前に急騰し、取引開始と同時に下落したため、Coinbase(コインベース)によるインサイダー取引の疑いが持ち上がっています。

 

ビットコインキャッシュ(BCH)はビットコインから派生した通貨

 

ビットコインキャッシュ(BCH)とは、8月1日にオリジナルのビットコインから分裂(ハードフォーク)してできた新しい仮想通貨です。ビットコイン(BTC)が抱えるブロックチェーンの構造的な問題をクリアしており、取引量の大幅な増大にも対応できるのがその特徴です。

ビットコインキャッシュは時価総額ではビットコインには及ばないものの、永久2番手だったイーサリアムを追い抜く勢いです。

 

イーサリアムとビットコインキャッシュ比較

 

ビットコインキャッシュ暴騰は、情報漏れによるインサイダー疑惑

 

12月20日のビットコインキャッシュ価格の急騰はCoinbaseがBCH取引開始を発表する数時間前に始まっており、ピークでは1BCHあたり8500ドル(約96万円)というまさに爆騰という状態にありました。そして取引開始直後には急激な売り注文が入り、わずか2分ほどで取引停止措置となりました。

 

これには事前にCoinbaseの取引開始が知れ渡って価格の急騰を引きおこし、取引開始とともに売ることで大きな利益を得ようとする動きがあったのではないか?と思えます。そして、Coinvaseの取引開始時間を誰が知っていたのか?という謎です。それはCoinbase社内でしか知り得ない情報なのです。

 

Coinbaseの社長は「その時点」では社内インサイダーは無いと発言

 

Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOは自身のブログに「この時点で」インサイダー取引の証拠はなかったと記してはいるものの、従業員やその家族、友人までを調査し、内部不正があった場合には即時解雇を含め厳罰を下すと言っています。

 

取引所に求められるゼロ・トレランス方式の運営

 

今回の件は、インサイダー調査が入ったということだけでCoinbase社のインサイダー取引が認定されたわけではありません。ただし、仮想通貨は株式等と違いインサイダー取引規制が未整備です。したがって、取引所が自ら社内自主規制していかなければなりません。

 

この自主規制に必要な考え方は「ゼロ・トレランス方式(zero-tolerance policing)」です。会社がどのように従業員を取り扱うかという視点の管理方法です。「zero」「tolerance(寛容)」の文字通り、不寛容を徹底し、細部まで罰則を定めそれに違反した場合は厳密に処分を行う方式です。

 

もともとは1990年代に学級崩壊に直面したアメリカが学校内ルールとして定めたものです。枝葉の小さなことまで見つけ次第、徹底して取り締まり罰則を与え、根こそぎ規制することです。 簡単に言えば、些細な事でも絶対に許さないということです。

 

お客の資産を預かる取引所内部のインサイダーは、決して許されるものではありませんし、仮想通貨全体へ信頼問題に発展します。インサイダー取引は年々厳罰化が進んでおり、金融商品取引法で規制しています。

なぜなら内部者が、重要な情報が公表されるよりも前(今回はビットコインキャッシュの取引開始日時)に売買を行うことは、答えを見ながら試験を受けるカンニングのようなものです。