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セグウィット2xへの分裂断念でビットコイン最高値、なぜ分裂は回避されたか

仮想通貨/暗号通貨「Bitcoin(ビットコイン)」の3度目の分裂が回避されました。今回の分裂騒動は、取引量の拡大を巡る深刻な騒動でした。コア開発者とマイナーグループの天下分け目の戦いと囁かれていましたが、コア開発者の「不戦勝」というかたちに終わりました。

 

分裂支持派からアナウンスされた「分裂中止」

 

分裂を主導していた米BitGo社CEOマイク・ベルシュ氏は11月中旬に新たに「セグウィット2x(Segwit2X)」を誕生させる予定でしたが、ブロックサイズ増大のための十分なコンセンサスが形成されていない」ことは「明らか」だとして中止をアナウンスしました。

分裂支持派は、ビットコインの処理速度を向上させるために新通過を誕生させようとしていました。取引データを記録する分散型台帳のブロックチェーンについて、容量が少ないという課題があり、解決策を持ち込んだのが「セグウィット2x(Segwit2X、B2X)」支持派です。このセグウィット2xは取引量を2倍に広げる仕組みです。

 

なぜビットコインは分裂しなかったか

 

11月中旬に分裂させる算段だったはずですが、なぜ突然中止したのでしょうか。仮想通貨はビットコインにかぎらずシステムを支えているのはマイナー(採掘者)で、マイナーをどれだけ集められるかが仮想通貨の未来を左右します。もし今回、セグウィット2xに主要マイナーが集り、本家ビットコインをしのぐ規模にまでマーケットが拡大することになれば、本家ビットコインの価格を上回る可能性も十分ありました。

 

セグウィット2x(Segwit2X)の安全性の不安があった

 

しかし、セグウィット2xには安全上の欠陥が多かったのです。よく言われているのが開発者の存在です。本家ビットコインの開発者は数百名、一方セグウィット2xの開発者は1名。もう一つは、リプレイアタック対策が欠如しているという点です。リプレイアタックは、簡単にいうと仮想通貨が二重送金されてしまうことです。

 

例えば、わたしからあなたににビットコインを1BTC送った場合、送ったつもりもない全く別の他人に新通貨を1単位送ってしまうということです。つまり、勝手に別の仮想通貨が別の場所に送金されてしまう恐れです。このリスクに対してセグウィット2xは脆弱だと言われていました。

 

8月下旬に導入された取引データの圧縮によって、当面は取引は安定すると見込めます。したがって、本家ビットコインのコア開発者は「あえて、安全性のリスクを負う必要はない」との立場でした。マイナーはマイナーで、セグウィット2xが力を付けすぎれば既存のビットコインの価値が消えるを恐れ、マイナーの支持は増えず、最終的には分裂は中止されました。

 

ビットコイン投資家は分裂回避をポジティブに捉えた

 

分裂騒動の危機がひとまず去った安心感を背景に、ビットコインの買いは根強いです。一時は7900ドル(約87万円)近くまで上昇し、過去最高値を更新しました。一方、分裂後の対してセグウィット2x(B2X)の先物相場は急落しました。分裂中止が決まる前の2000ドル台から一気に200ドルを下回り、10分の1以下になってしまいました。

 

セグウィット2xを支持するマイナーのサーバーは現時点では1割にも満たない状況です。今回の騒動が最後の決戦というわけではなく、今後新たな分裂仮想通貨が生まれる可能性はあります。しかし、しばらくは本家ビットコインが首位の座を守り続けること考えられます。