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中国のブロックチェーン業界を牽引する沿岸部と内陸部の新興企業たち

中国の調査会社「乌镇智库(Wuzhen Institute)」の「2017年中国ブロックチェーン産業発展白書(中国区块链产业发展白皮书)」によると、2012年以降、世界ではブロックチェーン関連企業が65.2%の成長率で新たに生まれ、140件合計4.5億ドル以上の資金調達がありました。また2016年にブロックチェーン関連企業の設立数ランキングで、中国がアメリカを抜いて世界一となりました。

中国ブロックチェーン業界

日本では東京と大阪に企業が集まりますが、中国では首都北京と経済の上海に集積する傾向があります。ブロックチェーン関連企業においても、北京、上海で起業されるケースが多く、また広東省、浙江省にも集まっています。広東省には経済特区の深センが、浙江省にはアリババの本社がある杭州市があり、ブロックチェーン関連企業も集まっています。

中国ブロックチェーン業界

2016年末時点の中国でブロックチェーン関連企業は105社確認されています。そのほとんどが華東地域(沿岸部)に密集しています。これはブロックチェーンに限った話ではなく、新興産業や外資系企業はほとんどこれら沿岸部に密集していますので、特別なことではありません。小さな青点にある中西部に新たなブロックチェーン企業が生まれていることのほうが注目すべき点です。恐らく、これは電気代の安い内陸部で行われているマイニング企業ではないかと想像できます。

中国のブロックチェーン産業について

中国のブロックチェーン関連企業への投資マネーの流入状況は2016年に入って急激に増加しました。2016年は、6.4億元(約105億円)ほどで、最大級の資金調達は杭州嘉楠耘智信息科技有限公司による2.7億元(約44億円)です。この会社は2017年5月にも3億元(約50億円)の追加資金調達をしています。

杭州嘉楠耘智信息科技有限公司は2013年に設立された会社で、マイニング専用のASIC(特定用途向け集積回路)の製造及び販売を行っている会社です。ちなみに、資金調達額ランキングの2位に入っている北京乐酷达网络科技有限公司は、仮想通貨・暗号通貨の中国大手取引所であるOKCoinです。

中国ブロックチェーン

中国でブロックチェーン関連の起業がピークを迎えたのは2014年です。中国人民銀行(中国の中央銀行です。余談ですが、中国銀行は中央銀行ではなく民間銀行です。)は、2017年9月にICO(Initial Coin Offering)の規制に乗り出しましたが、2013年にもビットコイン規制を行っています。

具体的には、公的金融機関および決済機関は仮想通貨/暗号通貨「Bitcoin(ビットコイン)」に価格をつけたり、取引をしたり、ビットコイン関連商品に対する保険を販売してはならないとする声明を発表しました。これを受けて中国最大の仮想通貨取引所である「BTC China」が中国人民元の受け入れを停止すると決定しました。

その後、ビットコイン価格は急落することになりますが、起業数の伸びをみると「ブロックチェーン技術」への期待は急落しなかったということでしょう。