いつの間にかビットコインに投資する人の半分以上が日本人になっていたという話です。2016年まではビットコイン市場を主導していたのは中国人でした。2017年9月には中国の中央銀行が暗号通貨やその技術を使ったICO(Initial Coin Offering)による資金調達や人民元での仮想通貨取引を禁止したことによって中国人投資家は減少し、価格も大幅に下落しました。
日本円建てのビットコイン取引量の割合(2017年10月)
ビットコイン取引額の日本比率が増加
ただ価格の下落は一時的なもので、あっという間に元に戻りました。それを牽引していたのは日本人の個人投資家たちです。2017年10月時点でビットコイン取引のうち日本円割合はなんと58%です。2016年時点では日本人比率は10%、2017年5月時点では日本人比率は40%、半年ごとに日本人比率は10〜20%ほど上がってきています。
世界的な規制強化や金融業界の重鎮たちによる反ビットコイン発言が目立った波乱の9月を乗り切り、10月に入ってビットコイン過去最高値を更新できたのも熱狂的な日本人投資家による爆買いのおかげです。どうしてこれほど日本比率が高まったのでしょうか。法整備、FX、中国の3つの視点から考えてみたいと思います。
1.日本の仮想通貨法整備が進み、ビットコイン参加者増加
まず考えられるのが、法整備です。金融庁は4月施行の改正資金決済法に基づき、9月末までに仮想通貨交換業の登録が必要としていました。実際に9月末日時点で11社が登録され、法的にグレーゾーンが解消されたことによって、多くの日本人投資家がビットコイン投資に参入してきたと考えられます。ついこの前まではニュースコメントに「ハイリスクハイリターン 、危ない 、煽りすぎ 、怖い、詐欺」といった内容が多く見受けられましたが、新規参入組はこれからもしばらく続くのではないでしょうか。
2.FX(外国為替証拠金取引)から日本人投資家が流入
外国為替市場の値動きが安定しており、投機を狙うFX投資家にとっては儲けのチャンスが少なくなっています。FXに比べて値動きが不安定で荒いビットコインに乗り換え、積極的な売買を繰り返していると言われています。
3.中国人投資家の減少による相対的な日本比率の増加
中国政府による規制を受けて、中国では人民元での取引が停止されました。一部の投資家は中国元を外貨に替え、そこからビットコイン取引を続ける人もいますが、大半の中国人がビットコイン投資から手を引きました。マイニング関連器材が中古市場に大量に流れたこともそれを裏付けています。中国人比率が下がったことで、必然的ににその他国々の取引額比率が上がっています。
FX取引高が月間400兆円にのぼるのに比べれば、ビットコインを始めとした仮想通貨・暗号通貨の売買は足元にも及びません。しかし多くの新しい金融商品や取引が法改正などルールの整備に伴い市場が拡大してきた経緯があることも事実です。時代のあだ花で終わらず、FX取引のように市場に厚みがましてくれることを祈るばかりです。
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