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顕著なボラティリティの高さを示した仮想通貨、中国人民銀行による「一刀切」で全面安に

仮想通貨/暗号通貨「Bitcoin(ビットコイン)」は8月の分裂危機を経ながらも、北朝鮮情勢の逃避資産や投機熱を背景に仮想通貨の代表格として相場を牽引してきました。そして一時5000ドル近くにまで達していましたが、9月5日時点では4000ドル台まで低下してきています。この大きな急落の背景は、9月4日に中国の中央銀行である中国人民銀行が仮想通貨による資金調達(Initial Coin Offering:ICO)を違法行為と認定いし、過去にICOで調達した資金は返却するよう決議したことにあります。

ICOはIPO(新規公開株)と同じく資金調達手段ですが、株式とは異なり規制やルールがなく詐欺紛いの案件も多かったと指摘があり、中国はこれを一瞬にして違法行為認定、そして禁止、そして過去に遡っての返金命令まで出しました。中国人民銀行が禁止したのは「ICO」です。例えば、企業AがICOで投資家BからICOで資金調達したとします。問題なのは、企業Aは投資家Bに何をコミットするのか不明確な点が多いということです。中国では資金だけ調達し、結局なんのプロジェクトも始まらずに投資家Bは泣き寝入りするしかないケースが散見されているようです。

一方、株式のIPOの場合は、所有権(株式)が投資家Bに渡るので、株主として経営情報の開示、配当金、経営への参加などルール化されています。この差が中国人民銀行を動かしたといえます。ただし、中国人民銀行が禁止したのはICOであり、言仮想通貨/暗号通貨の流通を禁止したわけではありません。しかし、ICOがビットコイン投機熱を牽引していたこともあり、ビットコインから波及して仮想通貨全般が大きくさげています。中国国内では中銀の対応を「一刀切」という表現で批判しているメディアもあります。一刀切を日本語に言い換えると「内容を吟味せず、画一的に対処、処理する」という意味です。全ブロジェクトを一律に禁止した中銀の対応は、中国国内でも賛否両論あります。