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小学生でも解ける問題で、暗号通貨の本質を理解する

ビットコインを始めとする仮想通貨は、暗号通貨とも呼ばれています。これは暗号学の暗号理論を利用して通貨の番人である中央銀行が担う取引の安全性を担保した通貨です。つまり、ピア・ツー・ピア型で通貨を成立させるために参加者全員が秘密鍵と公開鍵を持つという暗号技術を採用していると言えます。

さて、この暗号通貨の基礎とも言える暗号学。そして暗号学を1から10まで全て学ぶのは暗号学の教科書にお任せするとして、ここでは「暗号」の基礎の基礎を学んでいきたいと思います。そこで利用するのが冒頭に掲載されているマス目上の写真です。

暗号(Crypto)は、古代より利用されていたと言われています。紀元前の政治家・軍人でも知られるユリウス・カエサルが暗号を使っていたことからも分かるとおり、その利用目的は戦時の通信や諜報活動です。イギリスやアメリカでは武器と同一視され門外不出であったことから察する通り暗号は「敵」と「味方」を前提としたテクノロジーです。

このテクノロジーのもっとも原始的なアルゴリズムが、この写真の「ポリュビオス暗号」です。ポリュビオスは古代ローマ時代の政治家・軍人です。

ポリュビオス暗号は、古典暗号の1部であり換字式暗号(かえじしきあんごう)の一種です。換字式暗号は読んで字のごとく、一定の法則で文字を他の文字に換えて暗号化します。もっともシンプルなシーザー暗号も換字式暗号の一種で、この場合は平文(暗号化されてない文)をいくつかシフト(移動)して暗号文を作ります。具体的には、3文字文なら「A」を「D」に、「B」を「E」に置換して暗号化します。

シーザー暗号

ポリュビオス暗号の場合は「5×5のマス」にアルファベットを並べて、「数字」に置き換えます。シーザー暗号との違いはこの「数字」に置き換える部分です。

 21 41 14 54 41 

この数字の羅列は「TOKYO」という文字をポリュビオス暗号にて暗号化した暗号文です。ちなみに、先ほどの3つシフトのシーザー暗号では、「TOKYO」の暗号文は「WRNAR」となります。

この古代ローマ時代に発明された古典暗号は、文字を数字に換える画期的な発明だったと言えます。なぜなら、現代のコンピュータでの文字表示は全て文字と数字を結びつけた文字コードの上に成り立っており、ポリュビオス暗号の原理が「いまこの文字を書いていること」の基盤となっているといえるからです。文字コードが暗号文でないのは、その対応表が誰にでも公開されているからです。

暗号通貨ビットコインで使われている暗号技術は、公開鍵暗号方式(具体的には楕円曲線を用いたECDSAアルゴリズム)です。そのアルゴリズムがデジタルマネーとして機能するには、コンピュータ技術が前提にあります。そしてそのコンピュータは、文字を認識しなければなりません。その文字認識には、文字コードが必要で、文字コードは、ポリュビオス暗号にまで遡ることが出来ました。

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