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【ブロックチェーン関連書籍】中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来

本書の興味深いところはその知識の広さも去ることながら、著者が日銀OBであるという点。あちこちで書評が読めるのでここでは簡単に紹介しておきます。マイナス金利に異次元緩和、仮想通貨の台頭で、日本の中央銀行日銀の役割が大きく変りつつあるという話です。中央銀行への期待は大きいけれども、中央銀行が出来ることはどんどん小さくなってきているという視点で、ビットコインやブロックチェーンに話が進んでいきます。

仮想通貨ビットコインについては、世界中の中央銀行が独占的な通貨発行権をもっている以上、新たな脅威として映っているといいます。ただ、脅威とはいえども「ビットコインに敗れておわる中央銀行」というシナリオではありません。ビットコインは設計上、膨大な電力を必要とし多くの問題を抱えており、従来の通貨を全て代替するものではないとしています。ただし、ビットコインに使われているブロックチェーンをはじめとする技術を利用することによってデジタル通貨(デジタル銀行券)を発行することができると提案しています。

目次情報

第一章 協調の風景――良いが悪いに、悪いが良いに

  • 一 協調か競争か
  • なぜ協調なのだろう/かつてハイエクがいた/固定相場制から変動相場制へ
  • 二 戻ってきた流動性の罠
  • 財政政策の時代とその終わり/金融政策リバイバル/流動性の罠、再現@
  • 三 閉じた選択肢の前で
  • 異次元緩和の登場/もう引き返せない、か?/不安の少数派たち/閉じた選択肢の前で

パネル1:各国の消費者物価上昇率(5年間平均)/パネル2:ケインジアンの基本図/パネル3:フィリップス曲線の発見/パネル4:フィリップス曲線と流動性の罠/パネル5:心のバイアスと心の呪縛/パネル6:日銀券発行高の推移

第二章 来訪者ビットコイン――枯れた技術とコロンブスの卵

  • 一 ビットコインの要素技術
  • 枯れた技術の水平思考/暗号の始まり/計量的安全性という概念/データに署名する技術/手形は電子化できるが現金は……/ハッシュ関数☆
  • 二 コロンブスの卵はどこか
  • 秘密鍵と公開鍵そして匿名性/P2Pへのブロードキャスト/ブロックチェーンというアイディア/仮想掲示板システムの悩み/プルーフ・オブ・ワーク/マイナーたちのインセンティブ/仮想掲示板の前のドラマ

パネル7:機械式暗号機エニグマ/パネル8:デジタル署名と楕円曲線暗号/パネル9:ビザンチン将軍問題/パネル10:試行は絞り込みになるか/パネル11:口座番号F5R6I5D1A3XY/パネル12:伝言板あるいは掲示板/パネル13:至るところにあるPOW/パネル14:錬金術師ブラントの貢献/パネル15:300,001枚目のボード

第三章 ビットコインたちの今と未来――それはどこまで通貨になれるか

  • 一 ビットコインからビットコインたちへ
  • アルトコインたちの出現/ビットコインの問題とビットコインたちの問題は違う/ブロックチェーンの活用法さまざま/暗号通貨あるいは仮想通貨そしてPOWモデル/産業化するマイニング/ビットコインのリスクと限界
  • 二 それはどこまで通貨になれるか
  • 貨幣と通貨の間にあるもの/ヤップ島の巨石貨幣/石貨の価値と金の価値/それを通貨にする方法/POWモデルにおける貨幣間競争/クリストファー・コロンブスとサトシ・ナカモト/捨てきれない疑い

パネル16:ビットコインの価格/パネル17:歴史の中のアルトコインたち/パネル18:誰が記録を公正に保持するか/パネル19:電子マネーと地域通貨/パネル20:産業化したマイニング/パネル21:四年に一度のチキンレース/パネル22:コインになったビットコイン/ パネル23:ヤップ島の石貨/パネル24:1ドル札が40億円?/パネル25:ムーアの法則/パネル26:コロンブスのサンタマリア号

第四章 対立の時代の中央銀行――行き詰る金融政策とゲゼルの魔法のオカネ

  • 一 中央銀行は成長とともに生まれた
  • 日本は運が良かった/今は病気か常態か/金融政策が始まったころ/銀行券の価値はどこから/フィッシャー方程式
  • 二 金融政策は使命か重荷か
  • 流動性の罠とインフレターゲット/デフレが逆転しても/拡がる所得格差/底辺への競い合い/企業ガバナンスと分配の問題/金融政策における不都合な現実
  • 三 ゲゼルの魔法のオカネ ☆☆
  • ゲゼルの発想から/魔法のオカネの作り方/銀行券に時間情報を付ける/投信の発想からアナログ円を作る

パネル27:日本と米中そしてドイツ/パネル28:イングランド銀行は中央銀行でない?/パネル29:日本銀行のバランスシート/パネル30:フィッシャー方程式と金融政策の役割/パネル31:マイナス金利が観察される場合/パネル32:景気の循環と物価の循環/パネル33:企業の意思決定とコースの定理/パネル34:ゲゼル型貨幣の地域消費促進効果?☆☆☆/パネル35:「ゲゼルの魔法のオカネ」の収支計算/パネル36:投資信託/パネル37:デジタル円とアナログ円との分離

第五章 中央銀行は終わるのだろうか――ビットコインから見えてくる通貨の未来

 

  • 一 ビットコインから何が見えるか
  • その安さはどこから/キャピタライゼーション自体は悪くない/仮想空間の使い方/デジタル銀行券かビットコインたちか
  • 二 通貨独占発行権は必要か
  • 二つの利子率と貨幣の供給量/ティンバーゲンの定理から/銀行券供給の限界費用問題/預金による信用創造という危うさ/通貨独占発行権は不祥の器
  • 三 再びハイエク
  • 貨幣利子率と通貨発行競争/自分の通貨圏を自分で選ぶ/中央銀行は終わるのだろうか/やがて秤座のように

パネル38:金と銀の価格/パネル39:POWは浪費の証明?/パネル40:銀行券モデルの運営費/パネル41:何を使って何を操作するか/パネル42:銀行監督が金融危機を作った?/パネル43:ナローバンク/パネル44:Is Big Brother Watching You?/パネル45:金利差と為替/パネル46:共通通貨という片道切符/パネル47:枡座と秤座